ポリマーセラミックスメーカー Y社 技術開発部
自動車の排ガス規制強化に対応!
フィルターの高比表面積化と添加剤の残渣低減を可能にした焼失性素材とは?
自動車の排気ガスによる大気汚染が進む中、世界各国にて排出規制の動きが本格化し、近年さらに強化されつつあります。特に欧州や中国では、粒子状物質(以下PM)の数量制限(PN規制)も設けられ、使用される排ガスフィルターには、従来よりも高いPM捕集性能が求められています。Y社では、主に自動車メーカー向けにセラミックフィルターを供給しており、高品質化の市場ニーズに応えるべく、新規フィルターの開発プロジェクトを立ち上げました。
課題
高性能セラミックフィルターの開発がスタート!しかし従来の材料・処方では課題が…
Y社のエンジニアH氏は、PM捕集性能が優れた高性能セラミックフィルターの開発に取り組んでいました。一般的な自動車用セラミックフィルターは、微小な孔をあけて比表面積を上げることで、効率的なPM捕集を行っています。H氏は新規フィルターの開発を検討するにあたり、まずは捕集性能に直結するフィルターの高比表面積化に目をつけました。
現在、セラミックフィルターの造孔工程においては、セラミックに焼失性添加物を混錬し、それを高温焼成するという方法が主流です。そこでH氏は、現在添加剤として使用しているカーボン粒子や有機系微粒子の基礎評価から始めました。
添加剤の組み合わせや処方を変えて試行錯誤を重ねましたが、フィルターの比表面積は目標値に届かず、PM捕集性能も従来品と大差がありませんでした。
また、フィルター焼成後の添加剤残渣も性能低下につながるため、さらなる残渣の低減が必要ということも分かりました。
従来品では限界を感じたH氏は、新しく造孔に適した添加剤を探すことにしました。
「さまざまな添加剤を評価しましたが、目標とする性能には至りませんでした。排ガス規制が強化される中で、開発にはスピードも求められ、苦境に立たされていました」(H氏)
課題のポイント
セラミックフィルターの高比表面積化を実現したい
性能低下につながる焼成後の添加剤残渣を低減したい