ヒーター電子部品メーカー M社 製造部
電子部品製造の封止工程で、ディスペンサー用チューブの詰まりや損傷が発生…
冬場の樹脂硬化を防止し、詰まりを解消できた対策とは?
電子部品の製造を手掛けているM社。独自設計の工業用ディスペンサーを使用して、さまざまな部品形状の封止工程に対応していた。
課題
冬場の気温低下により、ディスペンサーのチューブ内で樹脂が硬化し…
M社では、電子部品の封止工程に金属製のチューブを使用して、メインタンクからディスペンサーに樹脂を供給する方法を採用しています。しかし、この方法には一つの問題がありました。冬場、外気温が下がると、樹脂の粘性が上がり硬化してしまうのです。製造部のA氏は、この問題をどう解決すればよいか、頭を悩ませていました。
「夏場は問題ないのですが、冬場にはチューブ内の樹脂の粘性が上がってしまいます。そのため封止樹脂の注入速度が遅れ、タクトタイムも余計に掛かっていました」(A氏)
硬化が進み完全にチューブが詰まってしまうケースも起きており、損傷による交換頻度の増加も問題となっていました。また、過去には生産ラインが停止してしまうという最悪の事態も発生していました。
金属製ヒーターで保温対策をするも、金属疲労による劣化が発生…
これに対し、「金属チューブを温めてみてはどうか?」という対策案が出され、A氏は試しに金属製のヒーターをケーブルに取り付けてみました。
「金属チューブの温度を上げれば問題を解決できるのではと考えましたが、封止工程にはチューブを持って動かす作業があり、取り付けたヒーターが金属疲労で頻繁に切れてしまいました。そのほかにも工場内が温まりすぎると樹脂温度が必要以上に上昇するため、樹脂を一定温度に保つコントローラーやサーモスタットを設置することも考えましたが、コストが上がり複雑な回路になるので諦めました」(A氏)
工場内の温度を調整するのも難しく、冬場になると金属ヒーターを交換しながら、どうにか製造ラインを維持していました。
課題のポイント
気温に影響されることなく、封止用の樹脂をディスペンサーへ安定供給したい
可動箇所にも取り付け可能で、金属疲労が起こりにくい低コストな機器を採用したい