【2】止まらない“反プラ”運動に真正面から向き合い続ける

発泡スチロールに対する止まらない「誤解」

「過剰包装を中止してください!」──主に贈答品の梱包材として使われていた発泡製品に対して、消費者から批判の声が上がり、世論を形成しはじめました。

世の中の流れは止められず、贈答品の製造元である食品メーカーや百貨店は、続々と、梱包材を他の素材に切り替えていきます。

しかし当時の消費者側の主張には、根拠のないものや、誤った認識も多分に含まれていました。例えば「発泡スチロールを使っているから、贈答品のコストが余計にかかってしまい、価格が高いのだ」「発泡スチロールを燃やすと有害ガスが発生する」など…。

実際には、発泡製品から他の資材に切り替えた後の方が、原価・送料を含めてコストがかさみ、製造元企業の費用負担が上昇していました。また、発泡スチロールは炭素と水素からできているため、有毒ガスは発生しません。むしろ木や紙を燃焼したときよりも、発泡スチロールを燃やしたときに発生する炭酸ガスの量の方が少ないくらいです。

しかし、発泡スチロール追放の声は止められず、この流れはどんどん大きくなっていきます。

社長が先頭に立ち、対話とリサイクル活動をスタート

発泡スチロールに対する誤った認識や誤解を解消しなければならない。そう考えた当社では、社長が先頭に立って対話とリサイクル活動に取り組みはじめます。

まずは過剰包装追放をさけんでいた各消費者団体との会談を実施。社長みずから発泡製品に対する丁寧な説明と対話を重ねていきました。

社会に対して地道にはたらきかけていく一方で、企業としてできることにも目を向けていきます。そうしてはじまった施策研究の一つが、リサイクル──つまり発泡スチロール廃棄物の回収再生システムでした。

研究の結果、回収した廃棄物はペレットや粉砕粒にして再び発泡スチロール原料に利用するほか、土壌改良材や壁用下塗混和材、プランター、その他建築材などに有効活用できることが分かりました。

そこで積水化成品では実験的に、家電製品に使われていた発泡スチロール包装材の回収をはじめます。研究をはじめた翌年、1971年3月のことでした。

問題に真正面から向き合う

発泡スチロールのリサイクルに取り組むにあたり、当社は、自分たちだけではなく業界全体でこの課題に取り組んでいかなければならない、と考えていました。

そのため他の原料メーカーにも呼びかけて廃棄物回収の動きを広めようとしましたが、このときはまだ協力を得ることができませんでした。今でこそ社会的責任として当然の対応である環境への取り組みも、当時はあまり浸透していなかったのです。

それでもリサイクル活動と発泡スチロールに関する啓蒙活動を続けていくうちに、ようやく「過剰包装・発泡スチロール追放」の動きに収束の兆しが見えはじめました。

しかし、受難のときは続きます。発泡スチロールだけではなく“反プラ”運動の火を消すことは、なかなか難しかったのです。

今度は卸売市場で、発泡スチロールのトロ箱の廃棄問題が取り沙汰されると、輪をかけるように、スーパーに並ぶ食品トレー追放運動がはじまりました──。

プラスチックを原料とした発泡製品を開発・製造している限り、こうした世間の声に向き合っていくことは大切なことだと考えています。

積水化成品はこうした出来事に直面するたびに、常に誠実に真正面から向き合っていくことになります。

次編に続く

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