ヒーター

テクヒーター®はこうして生まれた【3】

「テクヒーター」につながる技術が確立

PTCセラミックスの発熱特性を利用し、研究員たちが試行錯誤を重ねて開発した「防曇ヒーター」。樹脂加工したPTCセラミックスを活用することで、風呂場でも曇らない鏡が生まれました。

この開発によって、試行錯誤はあったもののヒーターの安全性および防水性が確認でき、研究員らは更なる製品開発に取り組みます。「防曇ヒーター」に使用したPTCセラミックスの配列を、一本の線上に配置したシンプルな構造にする技術の確立でした。できあがったのは、雨樋から流れた雪や雨水が軒下の配管内で凍らないようにする「フリーズガード」です。この製品は、シンプルな構造なので配管(縦樋)につないで使用できる、当時としては画期的なヒーターでした。主に寒冷地の住宅などで利用され、屋内排水管の凍結防止として、大いに活躍しました。

北海道の住宅販売の減少とともに、「フリーズガード」の販売は終焉を迎えましたが、配管に自由にまきつけられる発想が、後に「テクヒーター」へと進化していくことになります。

ドレンパイプヒーター(2次試作品)

「テクヒーター」が誕生

きっかけは、「コンクリート養生のためのヒーターを作ってくれないか?」
他社の研究所から持ち込まれた一つの依頼でした。

冬場の住宅基礎工事は、気温との戦いです。コンクリートは水と反応して凝固するため、反応前に水が凍ってしまうといつまで経っても固まりません。コンクリートが固まらないと建設現場では完全に作業が停止してしまうため、これは死活問題となります。冬場でも固まる特別なコンクリートもありますが、大変高価なため、どの現場でも使える訳ではありません。また、練炭を焚いてシートで被う方法もありますが、火災や一酸化炭素中毒の恐れがあります。

メンバーは新たなこの要望に“私たちがやらなければ”という使命感をもって取り組み、フリーズガードの技術を応用して専用のヒーターを開発します。ヒーター、温度センサー、出力コントローラーの3役をこなし、高い柔軟性を持った「テクヒーター」が誕生しました。

1997年に発売を開始した「テクヒーター」シートタイプは、2002年には年間1億6千万もの売上をあげるヒット商品となります。

このシートタイプがヒットしたことにより、社内に「サーモビジネスグループ」が新設されました。

「雪害対策に困っている」思わぬ大型依頼

しかし、製品が市場に行き渡るまで、それほど長い時間はかかりませんでした。サーモビジネスグループは3年で解散に至ります。

再び新たな市場を模索しはじめていた時、メンバーの元に思わぬ依頼が舞い込みます。今度は鉄道駅舎の雪害対策について相談が寄せられたのです。

さっそく開発に着手し、無事「テクヒーター」パネルタイプが完成。2010年に開業した東北新幹線の新青森延伸2駅で、雪庇防止のための融雪ヒーターに採用されました。これ以降、想定外のトラブルに数多く見舞われるも、その都度メンバーが懸命に対応し続けた結果、北陸新幹線、北海道新幹線の駅舎でも続々とテクヒーターが採用されることになりました。

次は何に貢献できるか?模索の日々は続く

鉄道駅舎での大規模な導入実績により、鉄道分野への活用が広がりました。
鉄道車両の振動に耐えられる最適製品を3年以上探された、あるお客様は、積水化成品の「テクヒーター」にたどり着き、耐性試験で最後まで壊れなかった「テクヒーター」を見て一言。「よく壊れなかったね…!」

さまざまな耐久試験をクリアした品質の高さで、「テクヒーター」の採用は進むことになりました。

次はどんな場面で、活用いただけるか。メンバーの目はすでに、あらたな活躍場所を見据えています。

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