ポリマーエレクトロニクス系素材メーカー R社 研究開発部

低誘電化と靭性付与を両立!多層基板に対応できる新規ポリマー微粒子とは?
~多層基板対応と信頼性向上を実現する新素材~

生成AIやデータサーバーなどの普及に伴い、次世代移動通信システムの開発が加速しています。この高速通信や高周波信号処理に対応するため、半導体パッケージや多層基板には、誘電特性(Dk,Df)に優れた高信頼性の絶縁材料が求められており、材料の脆性や低誘電特性(Dk2.5以下、Df0.002以下)の材料開発が課題です。
伝送損失の抑制や微細加工・多層基板に対応できる新製品開発が進む中、特に製造時や使用時の熱や積層による反りや破損・衝撃吸収・振動抑制に対応する柔軟な材料へのニーズが高まっています。

課題

低誘電化と靭性付与の両立が困難

主に半導体・電子部品メーカー向けに絶縁材料を供給しているR社の研究開発部のエンジニアであるA氏は、顧客からの要望を受け、多層構造に耐えうる絶縁材料の開発に着手しました。しかし、従来の低誘電材料は一般に脆性が高く、基板の多層化やフレキシブル化に伴う機械的ストレスに十分な耐性がないという課題が浮き彫りになりました。
靭性を付与する材料としてエラストマー系の材料がありますが、耐熱性の問題やシロキサンの懸念、誘電特性(Dk,Df)の悪化などがあり、従来の材料では対応が困難です。
従来の低誘電化フィラーは、無機系や中空構造が主流であり、誘電特性の低下には寄与する一方で、以下のような問題が顕在化していました。

  • 脆性の増加

  • 加工時の構造崩壊

  • 界面剥離や応力集中

当時の様子を、A氏は次のように語ります。
「過熱する絶縁材料開発において、樹脂や添加剤などさまざまな組み合わせを試しながら性能強化を目指していました。通常、低誘電正接(低Df)や基板の反り対策には、硬質材料である無機粒子が使用されることが多いのですが、今回は多層基板材料として靭性付与を強く求められることから、新たな材料探索を進めていました」

靭性付与添加剤を試してみたが、耐熱性や誘電特性に課題あり

A氏らはまず、一般的な添加剤としてエラストマー成分やゴム状粒子を使用したところ、柔軟性は付与できるものの、誘電特性(Dk,Df)と耐熱性が下がってしまいました。また、材料が増粘し、凝集が発生するなど、ハンドリング性が低下する点も課題でした。

課題のポイント

  • 無機粒子は高剛性ゆえに応力集中を引き起こし、クラックや剥離の原因に

  • エラストマー成分やゴム状粒子の添加剤では、誘電特性と耐熱面に課題

  • はんだリフローや高温信頼性試験にも耐えうる材料が必要

解決

解決のポイント

  • 低誘電特性と柔軟性を併せ持つ、耐熱性の高いポリマー微粒子をカスタム開発

  • 柔軟な有機シェル構造により、樹脂中での分散性が高く、塗膜や絶縁層の屈曲性・耐衝撃性が向上

  • 粒子サイズもナノサイズ化が可能

軟質でありながら、従来、難しいとされていた低誘電化と耐熱性を両立。半導体部材への添加剤として新たな選択肢を構築!

情報収集を行っていたA氏は、電子部品の展示会で積水化成品の「テクポリマー 軟質微粒子」「低誘電ポリマー微粒子」に注目し、同社にプレゼンを依頼しました。
「テクポリマー」は独自の懸濁重合技術で作られたポリマー微粒子で、柔軟性と耐熱性を両立する製法や、粒子の組成や中空構造によって誘電性能をカスタマイズできる点が特徴です。また、粒子サイズや表面処理技術などのカスタマイズ性にも関心を寄せました。

「ポリマー微粒子の柔軟性や中空構造のクッション性に興味を持ちました。280度以上の耐熱性や低誘電化のノウハウ、カスタマイズの広さが非常に魅力的でした」(A氏)

A氏は中空構造を主に検討しつつ、中実構造のカスタマイズも進めた結果、軟質でありながら、従来難しいとされていた低誘電化と耐熱性のある材料を実現し、目標とする低誘電特性(低Dk,低Df)や軽量性に加えて、靭性付与によるクラック抑制とハンドリング性向上に寄与しました。現在R社は、サンプルテストを通じ、絶縁材料のさらなる低誘電化と靭性向上を目指し、積水化成品と改良を続けています。

低誘電材料向け軟質ポリマー微粒子がもたらす未来

本技術は、フレキシブル基板や、パッケージ基板、車載用電子材料など、幅広い分野への応用が期待されます。今後は、粒子サイズのラインアップや表面改質技術と組み合わせることで、より高性能な絶縁材料の開発を進めていきます。

顧客課題を解決に導いた積水化成品の低誘電材料向け軟質ポリマー微粒子の特長

  • 軟質中実構造:柔軟性と構造安定性を両立し、反りを抑制

  • 高耐熱性:窒素雰囲気下で5%重量減少時の温度が380℃と高く、優れた耐熱設計

  • 粒子サイズ:ナノサイズで薄膜対応

  • 低誘電性:Dk 1.9、Df 0.0012という優れた高周波特性を実現

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