ポリマー樹脂メーカー A社 研究開発部

車載ディスプレイの大型化に伴う内装材の形状変更に、従来配合の樹脂では対応できず…
応力緩和性を約15%向上させ、2つの課題を一気に解決した添加剤とは

近年、自動車内装材分野を中心に、環境負荷低減やトータルコストダウンを目的とした塗装レス化や部材の大型化が加速している。A社は顧客からの要望を受け、自動車内装材に使用できる樹脂の新規開発をスタートしたが、2つの大きな課題にぶつかり難航していた。

課題

車載ディスプレイの大型化が進むも、従来配合の樹脂では自動車内装材として対応できず…

カーナビの情報量の増加や、音響・空調など制御機能の追加により、車載ディスプレイは大型化の傾向にあります。しかし、ディスプレイを大型化するには、内装材として使用されるプラスチック材料に、いくつかの課題がありました。

従来の配合のまま、大型ディスプレイに合わせて内装材を設計すると、重量や圧力によって反りや収縮が発生してしまいます。
また、内装材の表面には、映りこみ防止性と低反射性の機能が求められましたが、シボ加工を施すなどの工夫をしても、十分にグロス値を下げることはできませんでした。

このときの状況について、研究開発部のF氏はこう振り返ります。
「ディスプレイの大型化が進むなか、自動車内装材は従来配合のままでは対応できないため、材料の新規開発が必要でした。また曲線デザインのニーズも高まっていますが、曲面形状の部材表面を均一に低グロス化することは非常に困難でした」

F氏たち研究開発部のメンバーは、これら2つの大きな課題を解決するべく、プラスチック材料にさまざまな添加剤を追加し、配合率を変更するなど、試行錯誤を繰り返しました。しかし、片方を良くするともう一方が悪くなるなど、双方のバランスを取ることは難しく、行き詰まってしまいます。

研究を重ねるものの、なかなか満足のいく仕上がりにはならず、課題を解決できないまま、顧客への報告期日は刻々と迫っていました。

課題のポイント

  • 内装材の樹脂を従来配合のまま大型ディスプレイ用に形状設計すると、反りや収縮が発生

  • 映りこみ防止性や低反射性を実現すべく、低グロスの表面にしたい

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