ポリマーエレクトロニクス系素材メーカー I社 研究開発部

添加剤で柔軟性を付与すると、耐熱性は下がってしまい…
耐熱性と柔軟性を兼ね備えた、軟質微粒子の特徴とは?

昨今、自動車のEV化や5G活用に伴い、電子材料部品に求められる性能や品質も上がっている。エレクトロニクス系素材メーカー I社には、顧客から部品材料の品質に対する細かな要望が寄せられていた。他社との差別化のためにも、需要の高い“柔軟性”と“耐熱性”の両立を目指すが、材料に柔軟性を付与すると耐熱性が下がってしまい…。

課題

添加剤を付与すると、耐熱性だけでなく作業性も低下してしまう...

早速、研究開発部では、顧客を満足させる「柔軟性」を持った材料を開発するため、従来品に新たな添加剤を付与することを検討しました。
今回は、組み立て時に高温のはんだごてを使用しても劣化せず、電子材料部材内に集積するICなどの発熱にも耐えられる材料が必要です。特に、はんだ工程では250~260℃程度まで温度が上昇します。
柔軟性付与に向けて添加剤による改質を試みましたが、高温にも耐えうる最適な添加剤は、なかなか見つかりませんでした。

研究開発部の担当者であるS氏は、当時の様子を次のように話します。
「添加剤としてゴムフィラーのような微粒子を使用すると、柔軟性は付与できるものの、耐熱性が下がってしまいます。また、柔軟性のある微粒子を混ぜた場合、材料が増粘する、ダマができるなど、ハンドリング性が下がりやすい点も課題でした」

近年の電子材料部品では、部材破損などによる歩留まりの低下を防ぐため、製造時(反りや破損の防止)や使用時(落とした時の衝撃吸収や振動の抑制)の応力緩和力など、柔軟性が高い材料のニーズが高くなっています。
そのため社内からも開発を急かされていましたが、柔軟性と耐熱性の両立は想定以上に難航し、S氏は頭を抱えてしまいました。

課題のポイント

  • はんだごての高温やICの発熱にも耐えうる材料が必要

  • ゴムフィラー由来の添加剤では、柔軟性は付与できても耐熱性が低下

  • 柔軟性のある微粒子を添加すると、ハンドリング性も下がりやすい

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