ヒーター環境設備機器製造 H社 技術部

バイオ式生ごみ処理機の稼働率が外気温によって左右され…
複雑な機器構造にマッチした温度制御の方法とは?

環境設備機器の製造を手掛けているH社。主力製品の一つ、バイオ式生ごみ処理機は家庭用から企業向けモデルまで人気を博していた。特に業務用機器は、食品製造業をはじめ環境対策に積極的な企業からの引き合いも多く、幅広いサイズを取り揃えてニーズに応えていた。

課題

寒冷地ではバクテリアの活性が落ち、ごみの分解処理に時間が…

技術部のS氏はある問題に頭を悩ませていました。H社のごみ処理機は、バクテリアの活動を促進することでごみの分解を行い、肥料を生成します。しかし、バイオごみ処理機は屋外に置かれることが多いため、外気温が低い冬場はバクテリアの活性が低くなり、ごみの分解処理に時間がかかってしまいます。

「冬場の対策案を社内で協議した結果、処理機のドラム部分に金属ヒーターを取り付け、温度を上げることにしました」(S氏)

しかし、いざ金属ヒーターを取り付けてみると、新たな問題が発生します。既存の金属ヒーターは、環境温度に比例して温度が上昇する仕様で、細かい温度調節をすることができません。内部温度が100℃以上に上昇し、製品の要であるバクテリアが死滅したため、ごみの処理効率が下がってしまいました。

面状ヒーターを取り付けるには、内部構造が複雑すぎて…

技術部では温度調節の問題を解消するため、熱伝導を考慮した面状ヒーターを取り付け、低温で加温できるかどうか試すことにしました。しかし、処理装置の内部は強度アップのためリブ構造となっており、配管や配線が非常に複雑で、面状ヒーターを貼り付けるのは容易ではありませんでした。

「実際にやってみると、ドラム部の5分の1程度にしか面状ヒーターを取り付けられませんでした。必然的に出力の高い金属ヒーターを使うことになり、結果的に温度制御装置が必要になりました」(S氏)

S氏らはさまざまな手法を試みましたが、温度制御装置の取り付けは困難を極めました。機器内の温度制御をするにはセンサーやサーモスタットが必要ですが、仮に取り付けたとしても、バクテリアの分解に適していない箇所の温度を拾ってしまうリスクがあります。正確な制御を行うにはさらに複雑なセンサーを取り付けざるを得ませんが、そのスペースは残されていません。S氏らは、この状況を打破する他のアイデアを見つけるしかありませんでした。

課題のポイント

  • 冬場でもバクテリアの活性を維持したいが、高温ヒーターではバクテリアが死滅し、ごみ処理効率が低下

  • 低温で加温するための面状ヒーターでは、複雑な構造の処理装置に取り付けることができない

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